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 連れ合いに頼まれて、だいぶ前に録画しておいた『硫黄島からの手紙』を観る。手紙が発見されたエピソードが事実なのかファンタジーなのかは分からないけれど、リアルタイムに届かなかった手紙というものは確実にあったはずだし、届かなかった手紙の無念を思う。
 靖国神社の史料館(遊就館)に行った際に見た展示物を思い出す。零戦や彗星にも圧倒されたが、そのかげにあった無数の錆びた鉄兜や水筒、飯盒、ショベルなど。血染めの千人針のような直接的な遺品よりもむしろ、亡くなった兵士達の怒りや悲しみを厳しく感じたものである。