2010-11-01から1ヶ月間の記事一覧

直立する二人

連れ合いと古刹を散策していたときのこと。長い階段を昇り、お堂と紅葉を愉しみ、階段を再び降りる。ふと、降りるわたしの真正面、階段の終わりに、50代と20代の女性二人がまっすぐこちらを見上げ、手を合わせていることに気付く。その視線の鋭さに、思わず…

氷河

神学生時代を過ごした教会で説教奉仕をさせていただく。何年ぶりかで再会した方も。懐かしいやらくすぐったいやら。 講壇が改装されていた。もともと新築の会堂だったが、あらためて会堂は会衆による生ものであることに気付かされる。 若くしてヒマラヤで遭…

読書メモ 『売春の社会史』

暇なわりには読書の速度が遅い。やっとバーン&ボニー・ブーロー著、香川檀・家本清美・岩倉桂子訳、『売春の社会史 古代オリエントから現代まで 上』、筑摩書房、1996.を読了。まだほぼ同じ分量で下巻もある・・・・ 社会学的に広い範囲で「売春」というカ…

神学部チャペル

自分としては珍しく、用意した原稿からかなり逸脱した。一所懸命な学生の眼差しに、なにかが触発された。召命という日ごろからのテーマに火がついた。 自由な学風の学部のなかで、保守的な説教をした。保守的な枠組みに押し込められるなかで、それでも可能な…

逆-帰省

前任地の男性幼稚園教諭が結婚。招待状を貰っていて、行くか行かないかさんざん悩んだ挙句、元気になった連れ合いと出席。連れ合いは入院という不本意な仕方でこの土地を去ったいきさつもあったし、ちょうどよい区切りとなった。わたしたちが会場に着いたと…

失って得たもの

午前中 頂いたりんごでジャムづくり シナモン利かせて 夕食後 食卓でふたり向き合い、オーガニック・ペルーをすすりつつ、夫婦それぞれ無言で聖書通読。 そういや、必死で働いてたときは、こんな過ごし方したことなかったな。なんか喋ってないとやりきれなか…

ヨブ記にからんで〜ルサンチマン

聖書の通読をわたしよりあとから始めた連れ合いだが、今では彼女のほうがずっと先まで読んでいる。今はヨブ記を読んでいるようだ。彼女は推理小説などが大好きで、三人称の物語進行に慣れている。だが、ヨブ記や詩編のような一人称の独白続きの記述は疲れる…

よわさをほこる

このところ週一度、母校の神学部の講義に潜っている。 担当の学生さんが急病とかで、急遽、前神学部長先生がチャペルアワーで礼拝を担当しておられた。 2コリント12:1−10を中心に、1コリント12:22以下を交えて、母校における目の不自由な方の入学の歴史…

ひまじん

ふだんはCDプレイヤーとして使っているLDプレイヤーを外してテレビにつなぎ、久しぶりに昔のアニメを、連れ合いと鑑賞。昨日は『トップをねらえ!』今日は『王立宇宙軍』。ガイナックスの名作。 中学生のころ、漫画のイラストを模写したりすると「絵が上手だ…

祈りについての走り書き

連れ合いが食卓で「お祈りって、手を前で組み合わせて『アーメン』て祈るのでないとあかんのかな」と尋ねてきた。 その場ではありきたりな答えで応えた。「それだけが祈りじゃない。たとえば日々の生活のなかで神さまと対話するとか」云々。連れ合いはさらに…

日常の教義学

連れ合いが、小さなアルバイトをはじめた。うまくいくかわからないが、応援したい。 彼女が退院してから今まで、いろいろあった。吹けば飛ぶような愚かな夫婦。 ドストエフスキーの『悪霊1』(亀山郁夫訳)を先週の水曜から読み始める。やはり面白い。2や…

窓外で野良が喧嘩している。

ジョイ・ディヴィジョンを聴いていた。マーティン・ハネットなる人物によって徹底的に加工された音を、当時メンバーらは不本意に感じていたらしい。ライブの生演奏こそが自分たちの音であると。 ビートルズに関して言えば、ジョージ・マーティンによって丁寧…

これぞ異本化の粋

http://mainichi.jp/select/world/news/20101101ddm012030129000c.html たいへん面白い記事だ。ドストエフスキーを読まなくなったロシアの若者が、ロシア語に翻訳された村上春樹におけるドストエフスキーの影響を知り、そこから自国の古典に入ってゆくという…