2011-02-01から1ヶ月間の記事一覧

弁証法神学のてざわり

トゥルナイゼン著、国谷純一郎訳『ドストエフスキー』、新教出版社、1957を読んでいるが、これはちょっと・・・・神学者なだけに、なにがなんでも「神」を呼び出そうってわけだな。バフチンやジラールのドストエフスキー解釈を読んだ後だけに、どうにもなら…

欠けたる器

柳宗悦『民藝とは何か』(講談社学術文庫)を読んでいる。客体への信頼の強さにはやや躊躇いを感じるが、凝り固まった主体を解放してくれるようなおおらかさは大いに感じる。 “方処の間隔は、美への認識を新鮮にします。”(同書、49頁)外山滋比古『異本論』…

嘆息

駅前の広場で噴水を囲むベンチに腰掛け、『悪霊』を読む。顔を上げて、この風景のなかであと一年は過ごすのかと思い、浪人のような気の遠さに覆われる。 公園のベンチに横になりたくも、どの椅子にも細切れに手摺りがついている。椅子にまで「やすむな怠け者…

赦し

聖公会司祭の友人と久しぶりにスカイプ。キリストの御前に自らの小ささを思う、悔い改めからの出発。その原点をあらためて分かち合った。教会への強いニーズに「癒し」があるが、少なくとも教会では、罪の赦しというテーマをとばして一気に「癒し」へと向う…

落ち込んでみたり、喜んでみたり。

アルバイト予選落ち。はあ、新しいの探すのめんどいなあ・・・・ 捨てる神あれば拾う神ありというが、クリスチャンなので捨てる人あれば拾う人ありと言い換える。礼拝しに行った教会の牧師さんがアルバイトを紹介してくれるらしい。感謝。 日曜美術館でブリ…

遅れ、残されて在ること

二日間にわたる母校の神学セミナーに参加。ふだん連れ合いとしか会話しないため、大勢の人々がいる場所は非常に疲れた。また、自分自身の負い目なのか、どうしても同僚の人々の輪に溶け込めなかった。いつか自分も、セミナーのテーマのような現場へと復帰し…

痛み

井筒俊彦訳『コーラン』上巻を読了。コーランは後半になるにつれ、ムハンマドの初期の預言へと遡るらしい。そして初期のほうが鋭いと。楽しみだ。旧約聖書続編はマカバイ記一まで読了。登場人物が多すぎてとにかく分かりにくいので、サンドやウィキペディア…

ぼやき

『コーラン』て、延々とユダヤ教徒や多神教徒への弁証だな。一神教の「啓示」は神と人間との一対一。だから他人から「でまかせだ」と言われたとき、物理的証拠で預言を証明できない。だから終末論をもってきて、「信じないなら終わりの日に裁かれるから分か…

無縁社会と教会

『あしたをつかめ 平成若者仕事図鑑』を観ていた。皮革鞄の細かい仕事。革の鞄が革が上等だから高価なのではなくて、むしろあの見事な裁断、縫製の職人技ゆえに高価なのだということがよくわかった。あとで鞄磨いておこうっと。 『無縁社会』を観ていた。後…

自由民主主義

サンドの『ユダヤ人の起源』を、もう少しで読み終わる。イスラエルという国が、国内の国民の権利ではなく全世界の「ユダヤ人」の権利を守る姿勢をとっている事実。その結果、全世界の「ユダヤ人」はイスラエルの余計なお世話によって守られ、逆にずっとイス…

現実と虚構と

連れ合いが倒れる前に録っていた『母の眠り』を観る。癌で死に行く母と、娘と父の三者三様の葛藤。正直映画より「こんなの観て大丈夫かな」と、実際に母親を実家で看取った彼女が心配だったが、彼女のほうがわたしよりむしろ完全に虚構として観ていたようだ…

昨日から今日

ゲイリー・ムーアが死んだ!・・・・信じられん。 ゲイリー・ムーア関係はスキッド・ロウとシン・リジイのレコードしか持ってないが、高校生時代、兄の持っていた『アフター・ザ・ウォー』とか『ヒロシマ』とかブルースものとかを聴きまくった。あの声は好き…

グラデーションを生きる

先日ロフトに寄った折、入浴剤コーナーを熱心に物色する「おじさん」を見た。黒いジャンパーに普通のスラックスの「おじさん」。しかし黒いジャンパーの裏地が美しい紫だった。気になって「おじさん」の顔を見ると、マスカラをつけ、薄化粧していた。 別に容…

ヤコブへの手紙

連れ合いと『ヤコブへの手紙』を観にいった。草いきれや虫の羽音、泥など、フィンランドの、爽やかさよりもむせ返るような空気が、抑制された映像と音声によって見事に表現されていた。また、ヤコブ牧師のくたびれひび割れたカラーとかレイラのよれよれのシ…

預言と予報

預言と予報の違い。予報は適切に用いれば被害を避けることができる。預言は避けられないことを語る。そして聴く人間は、実際それを避けられなかった、後悔する(振り返る/悔い改める)人間である。申命記18:20-22*1と組み合わせることでのみ、イザヤ書6:9…

歴史は、単純には繰り返さない。

・『ユダヤ人の起源』やっと3章まで読了。サンドの意図が少しずつ分かってきた。パレスチナの現状における、ユダヤ人とパレスチナ人との「人種」としての分離、なによりもこれに強力に反駁を試みようということ。パレスチナの土着の人々はゆるやかにユダの子…

ゆるやかな、同時多発的な

・サンドの『ユダヤ人の起源』からメモ。発掘調査から、ダビデ〜ソロモンの壮大な宮殿は存在しなかった。北イスラエルにはそれなりの王国が出来たが、南のユダはごく小さな農村だった。サンドの仮説。ユダは「イスラエル」という名を借用しつつも、一神教だ…

あふれることば

語彙が全く異なる相手とは共通点を見いだしやすい。相手との語彙が近ければ近いほど、互いの相違点のみが際立ってくる。 亡き師の、たしか92歳になる姉より久しぶりの葉書。わたしが或る方に出した弔電を、葬儀の教会で見たようだ。「先生このままで終わらな…

線引き

シュロモー・サンド著、高橋武智監訳、『ユダヤ人の起源』浩気社、2010を第二章まで読む。 “識字率が低く、教育制度も、単一標準言語もなく、内部情報の流通もほとんど存在しなかった(読み書きのできる住民の割合が非常に低かった)農民社会では、わずか一…