2012-10-01から1ヶ月間の記事一覧

イエロー感覚に学ぶ

http://momas.jp/exhibitionguide/exhibition/%e6%97%a5%e6%9c%ac%e3%81%ae70%e5%b9%b4%e4%bb%a3%e5%b1%95-1968-1982/ 埼玉県立近代美術館の『日本の70年代 1968-1982』を観に行った。60年代末期の、あの独特のむせかえるようなアングラや劇画、映画批評や文…

1960-1993

『ウルトラマン』第23話「故郷は地球」を観た。ジャミラという、子どもの頃、よくシャツの襟に首を引っ込めて真似をした怪獣が登場する。再放送を観たのは幼稚園児の頃か。だから当然ストーリーなど理解できず、怪獣のヴィジュアルのみにかっこよさ(親しみ…

余白がいざないつづけるテクスト

“人は是等の二つの真理を、真理という名に於て同一の体系中に並在するものと解している。”日本民藝館監修、『柳宗悦コレクション1 ひと』、筑摩書房、2010、143頁。 “そしてその神と世界との並置関係を、わたしは宗教思想として安易であると言ったのである…

まだ温かい

『日曜美術館』の「アートシーン」のなかで、後鳥羽天皇宸翰御手印置文という、後鳥羽天皇が流刑後、死の10日程前に寵臣へ遺したという文書が紹介されていた*1。文字の背後に、両の手のひらを朱で押した手形が鮮やかに開いている。左手は薄かったのか、修正…

泣く恵み、笑う恵み

教会の映画鑑賞会が毎月ある。小礼拝堂を用いて、それこそ小劇場並みの設備で。いつも仕事がかぶって観れなかったが、今日は仕事を「中断して」(サボったのではない)、映画を観た。『ショーシャンクの空に』。公開時からいつか観よう観ようと、ずっと見逃…

既視感を与えてくれる思想の幸福

胃がん検診でバリウムを飲んだ。難しい姿勢をいろいろ取ったり、頭を下にしたり、胃をシェイクするのに身体を激しく左右に転がしたり。こういう検査ノウハウを考えた人ってすごいなと、あらためて。でも高齢者には無理だろうな。高齢者はたぶん最初から胃カ…

経年

3週連続テレビ放送の『20世紀少年』を観た。ラストシーンで、ヴァーチャルな世界でケンヂと勝俣君が和解してともだちになるけれど、どうもすっきりしなかった。ヴァーチャルな世界でやり直して、それで納得できるのかなあ。それともわたしがストーリーを理解…

非日常は、日常とそんなに遠くない。

青木保著、『儀礼の象徴性』、岩波書店、2006を読了。文化人類学のかなり込み入った議論によって、個人レベルの儀礼から国家レベルのそれに至るまで詳細に分析し考察している。日常と非日常、支配と被(あるいは非)支配、隠蔽と露顕などのさまざまな二項対…

逆説の誕生

柳宗悦「思想家としてのブレーク」(『柳宗悦コレクション1 ひと』収録)読了。原書は750頁近くあるという、そのうちの一章の抜粋らしい。まだ25歳の柳の、漲るようなエネルギーと、溢れんばかりの野心、希望のようなものが伝わってくる。天才賛美など、ち…

弱気な、あまりにも弱気な

17年前の大震災の際に、衝き上げる轟音と身動き出来ぬ激しい揺れのなかで、生まれて初めて神に命乞いをした。死の恐怖と激しい命乞いをあとで思い起こし、ああ自分は絶対に、大好きなアニメの主人公のようにはなれないのだと諦めたものだった。 領土問題など…

テクストからコンテクストを紡ぐ

外山滋比古『「読み」の整理学』(ちくま文庫)を読了。以前に同じく外山の著作で、読まれたテクストが読者の内部で微妙に作者とのコンテクストを変容させ「異本」を形成するという『異本論』を、たいへんおもしろく読んだ。『「読み」の整理学』のほうはそ…

連れ合いと、旧古河庭園に行っていた。様々な種類の薔薇が綺麗だった。洋館の見学もした。コンドルなる英国人による和洋折衷の見事な建築。30年も空き家で硝子も割れてボロボロだったのを、6年かけて見学可能に修復したのだという。それにしても、古河財閥と…

逆説は連呼できない。それでも笑う。

録画しておいた『日曜美術館』のルオーを観た。道化師やイエスの聖顔など。鹿島田真希さんがルオーについてゆたかに語っていた。「三日目に復活すると知っている人が、『聖顔』を描いている」。未読だが、彼女の『冥土めぐり』は、難病をわずらい身体の不自…

きぬずれ

鷲田清一の本を、また読んだ。『ちぐはぐな身体』(ちくま文庫)。『ひとはなぜ服を着るのか』とだいたい同じ趣旨だが、『ひとは』と同様、これほどに平易な表現で着る/着られるの人間の存在論を表現する、鷲田の哲学力に感動する。ふと、出エジプト記最後…

内在か超越か、ではない

スヒレベークス『イエス 一人の生ける者の物語(第三巻)』読了。第三巻からスヒレベーク「ス」になっている。ちゃんと後書きに書いてあった。第三巻を訳すにあたり、指摘を受けてオランダ語に近い表記に改めたという。同じ著作内で原著者の表記が変わるのは…

教会が助けを求めること

時折、教会外の方からお電話を頂く。内容によっては、警察に連絡することもある。電話の向こうで、明らかに誰かが暴力を受けていたり、相手が死ぬ可能性を持つ場合は。たとえば日曜日の朝に、教会に警官が来たりするのは、教会員の目も気になるところだが、…

ここ数日の雑想

渋谷教会のテゼー礼拝に出た。よい時間を過ごしたが、90分以上賛美し続けるというのは、集中力が続かなかった。途中から「あと何曲(で終わり)かな」とか、不謹慎なことで頭がいっぱいになってしまった…でも、半分以上席も埋まっていたし、西南地区の(だっ…

読んでみよう

姜尚中『続・悩む力』(集英社新書)を購入。『悩む力』が欲しかったのだが、売り切れていたのでとりあえず。なぜ買ったかというと、彼のスキャンダルに乗じて、「家庭崩壊しているような人が、『悩む力」などと人に言えるのか」という批判が起っているから…

それを言ってはおしまいなのか?続き

先日、『日曜美術館』で土偶の特集をしていた。数千年から、古いものでは一万年も昔の遺物なのであるから、それをもって単純に「日本人の心性」云々と現在化はできない部分もある。しかし少なくともそのフォルムの新鮮さや、そこに表された何らかの宗教性に…

それを言ってはおしまいなのか?

スヒレベーク『イエス(第三巻)』の第四部を読んでいる。第四部になって、急に聖書学(聖書神学)から組織神学へと重点がシフトされた。正直、ちょっと興味が薄れてきている。人間の意味への究極の問い=神への問い、というゴリ押し感が強くなってきたから…

読んだ

姜尚中『続・悩む力』読了。ウイリアム・ジェイムズの「二度生まれ」という概念が、本書の背骨になっているように思われた。一度生まれ、平穏に生きている。やがて破滅的な挫折ないし生死の境の体験をする。その後、すべての価値観が新たな意味をもって受け…

語りというより、聴き取りの深さを実感。

日本では「1度失敗したらもうダメ」なのか 山中教授「若い間にいっぱい失敗して」に喧々諤々 : J-CASTニュース 山中教授の「若い間にいっぱい失敗して」という主旨の発現に、ネットで反発が起こっているようだ。山中教授のようなスーパーエリートないし天才…

ひたすら救いがない・・・・・

録画しておいた『平清盛』を観たが、いよいよしんどい話になってきた。滋子が死んだが、なんだか唐突で、粗雑な死の描写に思えた。これ以上暗くするのを避けるあまり、「暗い」死の描写は一気にすっ飛ばしたような。しかし死を覆い隠したことで、むしろよけ…

今日は身を寄せている教会で、説教の御奉仕をさせていただいた。元来は会堂守のわたしが、こうした務めをさせていただいたことは、わたしにとって驚きであり、望外の喜びであった。無任所教師にとっては毎回の説教が「これでもう最期かも」という覚悟である…

信条と福音書

聖公会の友人がニケア信経(ニカイア信条)について勉強していたので、スカイプをとおしてレジュメを見せてもらった。よく学んでいるなあと感心した。そして今スヒレベークを読んでいるので思ったのだが、たとえば四福音書はそれぞれ伝承の成立した地方や時…

溜まるとたぶん観ない

「死刑執行人もまた死す」は面白かったが、連れ合いは冒頭数分で挫折。たぶん、今の映画と違ってとても静かでゆっくりした展開だったからだと思われる。それでふと、大河ドラマの低視聴率を連想。 大河ドラマは50年前の形態だ。視聴者は1年かけて、ゆっくり…

オダギリジョーがニイジマジョー。

連れ合いの協力で、ようやく芥川龍之介が大正13年から昭和2年まで住んでいた処に辿りつけた。さらに、室生犀星が住んでいた処の間近まで行けた。今は住宅の区画が異なっているのでその場所自体には近づけなかったが。当時の面影などかけらほどもないとはいえ…

「アーメン」と言うこと

小田垣雅也に会ってみたいと、いろいろ調べていた。残念ながら会うことはできなかったが、昨日、彼をよく知る方にお会いする機会を得た。小田垣が悠々とロマン主義を語っているのではなく、また現実逃避としてロマンに籠城しているのでもなく、さまざまな痛…

自省してみる。

ふツー連・編『ふしぎな「ふしぎなキリスト教」』、慧文社、2012を読んでいる。手厳しく耳が痛いが、おもしろい。膨大な修正箇所のところは飛ばして、まずは序文や各論のところを読んでいた。読んでいて少し分かったのは、わたしには「わかりやすさ」へのコ…

不勉強だったな。

今さらだけど、『ふしぎなキリスト教』って、間違いがいっぱいあったんだな。読んでいたときはおもしろかったので、あんまり気にならなかった。自分のキリスト教基本知識の貧しさってとこか。キリスト教史勉強しなおさんといかんな。 なんだろうな、岡田斗司…