否、と言える勇気

録画しておいた『非戦と平等を求めて 幸徳秋水堺利彦』を観た。とくに堺利彦という人のことはまったく知らなかったので、非常に勉強になった。大逆事件という、国家権力によるまったくのでっちあげ事件で処刑された幸徳。地道に非戦を訴え続けた堺。何も語ろうとしなかった知識人たち。
この、「何も語ろうとしなかった知識人たち」が、重い問いかけである。レヴィさんという研究者が「何かできたはず」というのに対して、もう一人の日本人の研究者が「日本は島国で、フランスのようによそに逃げられなかったから、(何も言えなくて)仕方なかった」とかわしたところに、当時と変わらないものを感じた。また、もしも自分がレヴィさんに同様の問いを投げかけられたら、同じように「わたしは島国の人間だから。ここで生きていくしかないから」と言い訳しただろうと思った。大きなものに対して「否」と言える勇気を、つねに意識し続けたい。