遅れ、残されて在ること

 二日間にわたる母校の神学セミナーに参加。ふだん連れ合いとしか会話しないため、大勢の人々がいる場所は非常に疲れた。また、自分自身の負い目なのか、どうしても同僚の人々の輪に溶け込めなかった。いつか自分も、セミナーのテーマのような現場へと復帰したい。
 NHK関西特集『ふたりでのぼる登山1万回』を観た。認知症のお連れ合いを必死で助ける男性が、彼女に「ありがとう」と声をかけ励ます姿。その「ありがとう」の意味が、なぜか分かる気がした。
 彼は、おそらく彼女になにもできない己の限界を知っている。だからむこうからやってくる彼女に「ありがとう」と言えるのだ。そして「ありがとう」という言葉に、発話する自分自身が深く慰められるのだ。