愚直に写す

 昨日、録画しておいた『仁』を観た。芸にすべてを捧げた、役者の死。歌舞伎に殉じた父の生が子に伝えるもの。医療におけるターミナルケアやQOLの問題を、ものすごく分かりやすくダイナミックに描いていた。
 今日はやはり録画の『日曜美術館』で野田弘志を観た。存在と死に、ひらめきではなく実直(愚直)に迫る超写実の姿勢に、おこがましいながらも説教に通ずる姿勢を感じた。とくに野田が恩人の葬儀において死と存在とのぶつかりに驚愕するとき、激しく頷くものがあった。彼は柩のなかの故人を撮影し、細密に写生しながら、死という消失において遺される存在のなにものかを追っていた。長谷川潔と共通の静謐さ。以前にも山の草一本一本までも描き込み、最期は山で倒れた画家が紹介されことがあったが*1、超写実の実直の重さを感じる。
 
 奈良・茅原大墓古墳:ガードマン役、4世紀末から 最古の盾持ち人埴輪 - 毎日jp(毎日新聞) http://t.co/yfPiow5 via @mainichijpnews埴輪が笑っている。1600年以上も微笑み続けて、古墳を守ってきたんだな。