年季

更衣室にて。会話が聴こえる。
「もう慣れましたか。」
「はあ、まあ。」
「体力は?」
「どうにか、はは…」
「おれは今年で終わりや。50年になるからな。」
すると別の職員「ええ、50年すか?!」
「おお、18んときからや。あの頃は定員(定年?)なんかなかったんちゃうかな。おじいさんもおった。まだみんな自転車で配達してた。入って三年目か?スクーターが入って。それ乗りたさに免許取ってな…」
思わず姿を確認。頭の薄くなった、古武士のような面持ち。日焼けして黒光りする腕や顔。やっぱりこの人だったか。食堂で見かけては、そのおっさんぶりが渋かったんだよな。