じれったい

 今日も深井智朗を少し読む。ディーデリヒスという編集者を知る。刊行物の内容をみると、ネオ・ロマンティシズム的な、いわば日本の国書刊行会のルーツであったことがわかる。思想家の研究について、天才的思想家そして読者という二項対立に疑問が呈されるだけではない。そもそも編集者とは誰かという問題、すなわち現代の編集者は潜在的に市場、匿名の不特定多数の読者であるということも、豊富な実例から語られる。いわゆる「ポストモダン」な視点だが、気取った感じはまったくなく、実直に実例を重ねて検討されたテクスト。