蒼い襟

 同じ班に正職員の人もいる。おそらくなんらかの精神的、神経的な疾患のため、通院もしている。わたしも経験があるが、心療内科や精神科でもらえる薬は気持ちを落ち着ける半面、きびきびした動作や臨機応変で素早い判断が難しくなる。
 職場はみんな精一杯。余裕がない。他人に優しくしている場合じゃない。となると、彼がへまをすれば怒号が飛ぶ。「おまえ正職員やろが!でけへんのやったらやめてまえ!」彼は反論せず、寂しそうな顔で作業を続けるほかない。
 うつ病ほか、精神的ないし神経的な疾病にも「社会的には」理解が進んだかもしれないが、所詮それはホワイトカラーの世界だけだろう。仕事ができなきゃクズ。それがこの仕事の鉄則だ。というより、おそらくどんな肉体労働においても。わたしも病気にならないように気をつけねば。
 今日わたしが味わった一連のトラブルだって、わたしのせいではないんだけれど、「こんなクソ忙しい時にめんどうなこと言いやがって」的な応対は一通り受けた。わたしも一歩間違えば、いつでもクズになれる。