楽しみにしていた、亀山郁夫訳、ドストエフスキー『悪霊 3』を読んでいる。ドストエフスキーは、群衆の乱れ動くスピード感、身体同士が押し合いへし合いぶつかり合う様子を見事に描く。それとも亀山の大胆な訳業の賜物か。
 亀山郁夫は「悪霊」をこれまでのキリスト教的な「あくれい」と読ませず、「あくりょう」とルビを打たせている。ロシア正教会の文化を知り尽くした上で、制度としてのキリスト教では整理し切れない、ロシアの風土から滲み出し湧き上がる昏いものに強調点を置いたのだろう。
 大河ドラマ平清盛』、映像が汚くておしゃれだ。
 パンクとかでもそうだろうけど、ショーとしての汚なさとただ不潔なだけなのとは全然違うはずだ。しかも同時に、いかにも不潔らしい装いでなくてはならない。その虚実の緊張感が面白い。