心地よく読めば、突き落とされ

原発と原爆---「核」の戦後精神史 (河出ブックス)

原発と原爆---「核」の戦後精神史 (河出ブックス)

著者が福島の人災事故への怒りや危機感から一気に書き上げたため、時折主述の乱れなど読解困難な箇所もあるが、それでも、一読の価値ある鋭さ。日本人の核受容史を、ゴジラやアトム、ナウシカやアキラなどポップアイコンから読み解く。こうしたクールな分析に驚く一方で、後半の著者の怒り爆発に傾聴するか「文系に科学のナニが分かる」と嘲笑するかは、読むわたしの決断へと迫り来る問いである。