狭い視野しか持てないけれど

深井智朗『超越と認識 20世紀神学史における神認識の問題』を読了。やはり日本人の神学者の著作が面白い。西欧の神学を読んでいて共感しつつも感じる「遠さ」のようなものを、こうした優れた日本人の神学者が代弁してくれているような。
なにも「日本人、日本人」とナショナリズム的な差異を強調しているのではない。わたしのような、留学したこともない人間にとっては、素朴にキリスト教的文化背景を持つ土地で成立した神学は、豊かで深い共感を覚えつつも同時に自分の日常からは遠いこともある、ということだ。
わたしが興味を持つ神学者、熊野義孝にしろ小川圭治にしろ小田垣雅也にしろ、そして深井智朗にしろ。それぞれの思想的立場の相違や多様性はあれ、必ずどこかで「日本の土地で」神学する姿勢を見せてくれている。留学したこともなく、日本のどこかの町の教会で牧師をするわたしには、そこが大事なのだ。