二つの遺影

昨夜はよく眠れず。諦めて起きて、早めの朝食をとる。パンをほおばりながら、食卓に二つ並んだ遺影が目に入る。こうやって咀嚼していること、ジャムの甘さ、呑み込んでゆくのどごし、呼吸、すべては、わずかな先には失われるかもしれない。遺影とわたしの命とのあいだには、紙一重の差しかない。
今生きて在る、生かされて在ることを、神に感謝する。生かされて在る以上、なにか為すべきことが、未だ遺されている。二つの遺影が、そう語りかけてくる。