11時間

今日も長いぞ・・・・・
母が手術室に入るとき、父とふたり、ぼーっと突っ立って見送ってしまった。握手のひとつでもすりゃよかったな。
長い一日。早く終われ。
もうすぐ6時か。あと何時間やろ。
夕食にビッグマックセットを買って控室へ。袋を開けると、ビッグマック見事に空中分解。
こうやって母の手術の終わるのをただひたすら待っていると、毎日すっ飛んでゆく1日24時間がじつは巨大なかたまりであること、1秒1秒というものの膨大な積み重ねであることを、しみじみと味わされる。そうやって母の75年間もまた積み重ねられてきた。
まだ手術終わらんか…医療スタッフがんばれ!お母さんがんばれ!お父さんとお姉ちゃんがんばれ!おれ…がんばれ。
日付け変わってしもたがな。
終わった!
父と抱き合って喜んだ。まんがみたい。でもいいや。
神さま感謝致します。疑ったわたしをお赦し下さい。
集中治療室に横たわる母に、父、姉、わたしの順で、それぞれ「おかあさん」とか「よおがんばったな」等呼びかける。我々一人ひとりごとに母は、頭を小刻みに頷かせ反応。これぞ母の最高の言語行為。これぞ母の究極の歓待。