出遭うことで、なにかが

信徒でない方からの「助けてほしい」との声。たしかに、教会側にもいろいろ事情はあるだろうし、声の「内容」そのものに応えられるとは限らない。けれどもこういう時勢だからこそ、声の主(ぬし)に顔を向けることがせめてできるような、宗教者でありたい。
「また生きていこう、って気になれました」。その言葉を聞いたら、わたしもまた生きていこう、って気になれました。礼拝だけが教会じゃない。こういうリレーもあってよい。
ラーゲルクヴィスト著、尾崎義訳『バラバ』(岩波文庫)を読んでいる。どうしても自分の代わりに十字架に架かったあの痩せた男から逃れられない、特赦された男の物語。人間と人間との、拙い、不器用な、しかし一つ一つ決定的な関わりから目が離せない。
「次会うときは笑って会いたいんで」。こちらこそ、次会うときは、しみったれた顔していないよう、がんばってみます。