いつ見てもおもしろい。

 昨日久しぶりに「開運!なんでも鑑定団」を見ていた。中島誠之助さんが最後の徳利について「選ばれた人だけが持つことのできるものです!大切になさって下さい!」と力強く太鼓判を押していた。
 選ばれた人だけが持つことができる品。それは芸術が芸術品へと変容する瞬間を見事に言い表した表現である。芸術は、おそらく機会さえ与えられれば誰もが感動することがゆるされている。だが、芸術品を所有することは、それこそ「選ばれた」人だけにしかゆるされていないのだから。
 わたしたちは芸術と芸術品とのこの微妙な、しかし大きな違いを見逃すべきではない。芸術が選ばれた人にしか鑑賞できないのであれば、それはもう芸術として成立しないだろう。誰に対しても開かれ(もちろん必要に応じて芸術に接近する努力が要求されることはあろう)、むしろ味わう側が「好み」を自由に発揮できる、すなわち解釈できる自由があるということ。
 ところであの番組が果たしてきた功績は計り知れないものがある。世の中にはこんなにも面白いモノたちが溢れているということを、「日曜美術館」とはまたまったく違ったアプローチで教えてくれ続けているのだから。