読書メモ フェミニズム理解への準備

 『講座 現代・女の一生8 アンソロジー 世界の女・日本の女』(岩波書店)と『売春の社会史 古代オリエントから現代まで』(筑摩書房)を並行して読んでいる。もっとも、読むといっても時折開くだけなので、いつ読み終わるのかも分からない。
 自分が男性であることは当たり前のことではない。この仕事をしていると、あらためてそういう事実に出会う。では、当たり前ではないとして、なぜわたしは男性なのか。もちろん答えが出るわけではないが、かといって「どうでもええやないそんなこと」とも片付けられない。
 若桑みどり『戦争がつくる女性像』(筑摩書房)を学生時代に衝撃をもって読んだ。メディアがどれほど大きな力をもっているかということを、女性への、というより「性」へのイメージ理解の分析をとおして知らされたものだ。
 バーン&ボニー・ブーローによる『売春の社会史』では、最初に売春という定義の、文化による多様さ、曖昧さを丁寧に追ったあとで、暫定的にまずは古代オリエントの売春婦(夫)について史料を分析している。旧約聖書に出てくる神殿男娼なども登場する。売春の(あくまで一部の)ルーツが神々との交わり、信仰と結びついていたことが分かる。そして古代オリエントですでに、疑いようもなく女性は「所有物」と見なされていたということも。