窓外で野良が喧嘩している。

 ジョイ・ディヴィジョンを聴いていた。マーティン・ハネットなる人物によって徹底的に加工された音を、当時メンバーらは不本意に感じていたらしい。ライブの生演奏こそが自分たちの音であると。
 ビートルズに関して言えば、ジョージ・マーティンによって丁寧にミックスされた音、ヴォーカルの二重録りなど、メンバーは納得していたようだ。逆に海賊盤でライヴ盤が出回ることを非常に嫌っていたらしい。
 そんなことを考えながら音楽を味わっていると、コンサートに出かけるという行為と、CDなど録音物を聴くという行為とは、極論すればまったく別物なのかもしれないとも思う。もちろんコンサートにおいても、多くのスタッフの活躍によってその「音」が成立しているわけだが。
 顧みて自分の仕事の領域。口語訳聖書、54年版讃美歌でないと絶対にいやだ、という人たちもよく見かける。それはやっぱり「このミックス、このヴァージョンでないと聴きたくない!」というのと似ているのだろうか、とくに聖書の訳については。ただ、温度差もあるだろう。新共同訳も読んでいてなかなか良いが、礼拝では口語訳しか使いたくないという人。新共同訳は読むのも嫌だという人。
 6年後に標準訳(だったかな)が出るそうだが、どんな反応が起こるだろう。早く読んでみたい気がする。ただ、個人的に新共同訳を読んでいて思うのは、今の日本語に比べてそれほど古びている、もしくは寿命が来ている気はしないということ。