相対性に立つ勇気

 シュロモー・サンド著、高橋武智監訳、『ユダヤ人の起源 歴史はどのように創作されたのか』、浩気社、2010。を読み始める。タイトルの「創作」について訳者が「無から」作り出すことの意味もあると言及している。原著はヒブル語だというから、きっとバーラー(創世記1:1)だろう。
 無からの創造、「無かった」はずの歴史、ユダヤ「単一」民族という歴史の物語が、創造され信じられていった過程を、著者が学会や国家から猛反発を受けつつも諦めず探求する作業。それは「日本人」、ことに隣国との比較で語られる日本人の神話を批判的に追う勇気に通じる。