歴史は、単純には繰り返さない。

・『ユダヤ人の起源』やっと3章まで読了。サンドの意図が少しずつ分かってきた。パレスチナの現状における、ユダヤ人とパレスチナ人との「人種」としての分離、なによりもこれに強力に反駁を試みようということ。パレスチナの土着の人々はゆるやかにユダの子孫でもあり得ること。
・相対性をとおして、むしろ逆に分離され境界付けられたふたつの人々がひとつであることを示そうとしている。現状のイスラエルの強行さが、むしろキリスト教の神学の負の部分である「イエスを十字架にかけた罪で追放され彷徨うユダヤ人」の「追放され彷徨う」をバックボーンに活用したことを彼は指摘。
ヨシュア記に感じたパレスチナ問題との類似性は、順序が逆だった。ヨシュア記を現代の歴史が繰り返したのではなく、現状のイスラエルが、むしろはっきり自覚的に、巧みに、ヨシュア記を利用したのだということ。