嘆息

 駅前の広場で噴水を囲むベンチに腰掛け、『悪霊』を読む。顔を上げて、この風景のなかであと一年は過ごすのかと思い、浪人のような気の遠さに覆われる。
 公園のベンチに横になりたくも、どの椅子にも細切れに手摺りがついている。椅子にまで「やすむな怠け者」と責められているような。
 聖公会の友人が大阪に出てくるというので、久しぶりに再会。前回は前任地で会ったことを思うにつけ感慨深い。今は他教派の人に対してのほうが素直になれるという、皮肉ではあるが安心感も得る。
 教派≒教団の聖公会だからか、謝儀は少ないながらも福利厚生は全国共通に安定している。医療費も教区から定額までは捻出されるという。なんの保障もなく一寸先は闇、バラバラでなんの一致もない我が教団の「多様性」を思う。