我を忘れて

 ボンヘッファー著、森平太訳、『キリストに従う』、新教出版社、2007を「隠れている義」まで読む。テクストはテクストであり、著者と分けて受け止めるべきものである・・・・とは思いつつも、彼の獄中書簡を思い出すにつけ、彼はここに書いてあることをほんとうにやってしまったんだなあと、驚きを禁じ得ない。
 ふつうなら「そこまで言うんならお前自身がやってみろよ」と言いたくなるようなテクストなのだが。獄中書簡においても彼は「我を忘れて」冷静にしていたのだった。キリストに従い、他人のことを思い、自分のことに無関心。しかし他人からは彼の十字架がよく見え、復活への確信もよく見える。