感情移入の入り口

 お昼休みに汚いソファに寝転んで食堂のテレビを見ていたら、被災地の郵便局のことを特集していた。テレビの向こうにも制服、こちらにも制服がうろうろ動いていて、変な感じだった。
 それにしても局が全壊の状況下、手区分で郵便を分け、道なき道を走り、郵便物を手掛かりに安否を確認し・・・・・想像を絶する仕事だ。ふつうの郵便配達でも大変なのに。
 郵便屋さんが届ける手紙、そして郵便屋さんと受取人との何気ない挨拶、そうしたなかで回復するものもあるのだということ。短い特集だったけれど、食堂にいる職員の多くの箸やスプーンが止まり、彼らの視線はテレビに釘付けだった。