雲の上

 トライアスロンの選手は水泳も長距離走も自転車も、とても速いだろう。だが競泳の選手と泳げば負けるだろうし、マラソンの選手と走れば、あるいは競輪の選手と自転車で競えば、とても勝てまい。
 郵便局ではクロネコヤマトや佐川急便をライバル視しているが、郵便局はトライアスロン、宅配便の業者は宅配専門の精鋭に譬えられるのではないか。膨大な手紙を配りつつ、しかもその空いた手で運ぶ荷物量で、荷物のみを運ぶ業者と競うなど無理がある。
 国家財政がひっ迫するなかで、郵便局はまずもって民営化せざるを得なかっただろう。しかしいつかは宅配業者との競争に敗れた郵便局は倒産するだろう。あるいは郵便局も宅配業者の一つとなり、ゆうパックがメインで、手紙は「そんなサービスもあります」的なオプションになるかもしれない。
 icloudにデータがバックアップされるというが、パソコン用語も英語力も大してないわたしには、まるで空に浮かぶ雲のなかに自分のデータをしまっておくような気がして、どこかあたたかい。
 郵便配達で使用する端末機も、出発前にデータを入れた後、そして帰局後には必ずクレードルに接続する。これもまた、配達の後でゆりかごに眠るような感じがする。クレードルなんていってもまったく無関係なんだろうけれど。
 むかしはフロッピーディスクなんてあったけれど、最近連れ合いと婦人服店などぶらついていると、つばのすごく広い、やわらかそうな婦人帽によく出会う。たしかあんなのをフロッピーといったんだよな。
 どこにデータがしまわれていたのか、写真や連絡先どころか、以前やりとりしたメールまで復元されるというのはすごい。まあ音楽ファイルのトラブルくらい屁でもないな。音楽といえば、はやく牧師に復帰して仮住まいから脱出し、オーディオセットをちゃんと繋いで、大きなスピーカで聴きたいなあ。
 段ボールのレコードたちは大丈夫かなあ。ジャズやクラシックやフレンチポップやロックやテクノや歌謡曲・・・・・ほんとはCDよりもお気に入りの音楽が多いんだよな。