わき

 “すなわち歩行者は目前の事象に気を取られて目的の場所のことを全然考えていなくてもよい。それでも彼の歩行の仕方は‘あらかじめすでに’決定せられている。かかる‘あらかじめすでに’は歩行者の現前の意識を超えて彼の存在の仕方としての意義を持つのである。”和辻哲郎倫理学(一)」274頁
 普段意識しないけれど、行き先が突然霞んでしまったとき。行き先の不在は、不安に怯える自己を浮き彫りにする。行き先こそが過去を安定的に整理させ、今このときを規定する決定的な要素なのだ。たとえぼんやりとでも、行き先があるという事実こそが。
 2時間半の残業。年賀状の営業は疲れるけれども、人にモノを売ること、媚びるのではなく誠実に相手に感謝して売ることの深さを体験させてくれる。
 NHKで録画しておいた再結成YMOのライヴを観る。小山田圭吾が脇役に徹するなんて、なんて贅沢な!みたいな。とにかくみんな渋かった。幕間のだらけた対談も、いかにもな感じだった。