通勤バスのなかで、ぷちっ、と

 辞職した。いきなり課長に伝えた。社会人として、それは決してしてはならないことだった。やさしい課長も、堪忍袋の緒が切れるぎりぎりで耐えてくれているのが分かった。わたしは大人じゃない。社会人、成人じゃない。だめだったんだ。たえられなかったんだよ。
 スタバから連れ合いに電話した。泣いた。やっと、泣けた。やっと彼女に「ずっと恐かった」って言えた。彼女が連れ合いであることを主に感謝し、誇る。
 コインランドリーで、返却する防寒着などを洗濯中。辞職書類に不備があったとかで、午後から再度郵便局に行かねばならない。朝の時点では会わなかった班の人たちと顔を合わせるかと思うと辛い。
 制服等、返しに行った。上司立会いのもと、女性の上司が、わたしが袋から出した衣類をすべて広げて検査し、再びたたんでゆく。黙って直立するわたしは、犯罪者の体。課長がわたしの書類の不備に訂正印を押すよう指示。押す位置がまずかったのか、「もうちょっと考えて押せよ」と怒り爆発。逃げるように局を立ち去る。つまみだされるように、というべきか。
 保険証も返したので、どうしたらいいか分からない。とりあえず市役所へ向かうところ。卑屈な疲労感。
 クズはどんだけがんばっても所詮クズやな、なんて愚痴ってみたり。とにかく耐えよう。もうちょっと頑張って生きてみよう。