補足

そういえば「宇宙の渚」で、宇宙から地表をはるか見下ろしつつ「国境などない」と語るまさにその場面で、地表に「シリア」とか「イスラエル」とか「イラク」と白文字を入れていた。国境のない大地を、しかし国家の枠組みを無視しては認識できない人間。
和辻哲郎が「倫理学」で語る風土。漠然とした無名の地面ではない、あの土地やこの山やその村など。また、風土に根差した具体的な歴史や文化。宇宙から見て国境がないことへと飛躍するのもロマンチックでいいが、地を這う国境の現実、国家や地域の多様を意識した上での一致や協働にも、想像力を働かせたい。