顔に追われて

梅ちゃん先生』を見ていた。下町の診療所で働く、いかにもハードボイルドな過去がありそうな医師の坂田が、過去を語る。満州で軍医だったが、敗戦時に患者を放り出して逃げ帰ったと。帰ってから患者の顔が浮かび、酒びたりになったと。
そのような体験に基づいた、「そば屋が人助けでそばを打たないように、医者も人助けで医者をやってはいない」「医師はそこにいるだけでいい」という言葉に、思うことがあった。自分も牧師にもしも復帰できたら、そんなふうに感じれたらいいなと。
放り出した結果、逃げても逃げても前にいた場所の人間の顔に追いかけられるという体験は、自分にも分かるしんどさだから。