逆説の誕生

柳宗悦「思想家としてのブレーク」(『柳宗悦コレクション1 ひと』収録)読了。原書は750頁近くあるという、そのうちの一章の抜粋らしい。まだ25歳の柳の、漲るようなエネルギーと、溢れんばかりの野心、希望のようなものが伝わってくる。天才賛美など、ちょっとぶっ飛んでいる感じは、今のロック(パンク)青年のような勢いだろうか。
しかしこういう精緻で華美で強壮な研究を若年時に行ったからこそ、後年の民藝という、落ち着いた冷静な観察もまた可能であったのだろうと思った。しかも、若い時からすでに単純な二律背反を超えようとする、逆説への萌芽が見られる。まだ弱きを憎み、ブレイクの天才や強壮への賛美に終始してはいるが。