そこに人間がいる

録画しておいた日曜美術館の『GAMANの芸術 戦時下に刻まれた不屈の魂』を観た。戦時中、砂漠の強制収容所に送られた日系人たちが、追い詰められた状況下、ごく限られた素材で、きわめて優れた工芸品を遺した、その作品展の紹介。
柳宗悦はこうした作品群があったことを知らなかったと思うが、もしも知っていたら、迷わず躊躇わず民藝館に収集していただろうと思う。彼が語る民藝、すなわち市井の人々が、芸術家ぶらず、日用に生み出した品々という定義に、そのものずばりだから。しかも彼がそこに見出そうとした、人間の存在そのものを表すような美しさが、これらの作品群の一つ一つに見られる。
人間が作り出す、これほどに尊厳を感じさせる品々。たんなる鑑賞の対象ではない。人間に向き合っているような感覚。お寺や教会で、大事に大事に使い続けられている道具、ふだんまじまじと見つめることのないような品物たちにも、こういう美しさがあるのだと気づかされる。 ブリコラージュの粋。