2012-07-20から1日間の記事一覧

現実迫る幻想

森茉莉の『甘い蜜の部屋』を読んでいて、モイラが百日咳で苦しんでいる場面が迫真的で、ちょっと気分が悪くなった。そして、やはり幻想や美というものは、こうしたとことん緻密で具体的な現実性の、丁寧な積み重ねによって成立するのだと実感。森茉莉の写実…

黙示思想を突き抜ける洗礼者

E・スヒレベーク『イエス(第一巻)』の第二部「イエス・キリストの福音」を読み始めている。洗礼者ヨハネについての分析が新鮮で面白かった。黙示思想でヨハネを括るのではなく、むしろ第二イザヤと結び付ける、ヨハネ活動当時からみても古い時代の預言者像…

かすかな黴のにおい、白い壁

ラヴェルの「水の戯れ」を聴きながらトーストを食べる。気分だけホテルのラウンジかカフェ。 音楽には鈍感であるが、ときおり友人が楽しんでいる音楽や、なんとなく観ているテレビの映像のうしろの曲などに、「これは」という出遭いを感じることがある。ラヴ…