あふれることば

 語彙が全く異なる相手とは共通点を見いだしやすい。相手との語彙が近ければ近いほど、互いの相違点のみが際立ってくる。

 亡き師の、たしか92歳になる姉より久しぶりの葉書。わたしが或る方に出した弔電を、葬儀の教会で見たようだ。「先生このままで終わらないで下さい きつと再出発の日のくることを祈つて待つてゐます」という言葉に涙腺ゆるむ。
 葉書を買いに行く暇も惜しく、手許の年賀状で即座に返信。そういえば亡き師はあちこちの遠方の信友に郵便物を出しては、返信や献金、援助物資を貰っていた。わたしもそれを受け継ぎ、方々の信徒や教会へ、よく葉書を出したものだった。正座して、葉書に小さな文字でびっしり音信していた師。