本棚をぼんやり見ていたら、清水哲郎パウロ言語哲学』が目についた。そういえば、この本で初めて「言語ゲーム」という概念を知ったのだった。そこで文学部の友人から永井均ウィトゲンシュタイン入門』を譲り受けて読み、さらにはウィトゲンシュタイン哲学探究』を読んだわけだ。
清水哲郎を読んだときは、いっぱしを気取って、自分も習いたてのギリシャ語でローマの信徒への手紙を毎週訳しては、通っていた教会の祈祷会で発表したものだった。ところが言語ゲームに関心をもって訳したものだから、歴史的批判的研究にまったく無頓着で、牧師には迷惑をかけたものだ。