奇跡は、起こり得ないから奇跡と呼ばれる

小学生の頃に親から貰った方位磁石が出てきた。懐かしく蓋を開き針を解放にすると、いつまでも針が落ち着かず、しまいには全く出鱈目な方向へ。心の地誌学。
神的な「しるし」なり奇跡なりは、驚きと「そんなことあるか」という否定とのすれすれのところで、わずかに驚きが勝ったときに成立する概念だろう。それは古代人にとってさえ、そうであっただろう。古代人は古代人なりに、ふだんは奇跡の介入の余地などない、それこそ「安定した」日常を送っていたはずだから。