2012-06-28から1日間の記事一覧

入れちがいに

矢川澄子著、『「父の娘」たち』、平凡社、2006を読み始める。森茉莉についての回想の「至福の晩年」を読みながら、そのタイトルもあって、違和感を覚えていた。荒俣宏による『知識人99人の死に方』で読んだ森茉莉の最期の、いわゆる「悲惨さ」が、そこには…

追記

無任所教師となり、ぼんやりベンチに座っていた。無気力のきわみで寝転びたくなったら、ベンチのど真ん中に手すりがついていた。元気な時には気にしたこともなかった。ホームレスはホームがないからベンチに寝るのだ。ベンチに寝るなアホというメッセージは…

二度と来なくなるまえに

毎月、連れ合いと教育テレビの『ハートネットTV 貧困拡大社会』のシリーズを見ているが、彼女が古本屋でその解説者である湯浅誠の『反貧困 ──「すべり台社会」からの脱出』(岩波新書、2007)を見つけてきた。彼女よりも先に読んでしまった。 先にテレビを見…

受容は受け手の主体をも超えて

森茉莉の 孤独死を至福の死として受けとめた矢川澄子に、「納棺夫日記」の青木新門にも通じるゆたかさを見る。あらゆる生の在り方、終わり方をも肯定する視座。しかし矢川澄子自身は、自らの死を受容できたのだろうか、自死をその身に引き受けて。今度は読者…