2012-06-01から1ヶ月間の記事一覧

羨望と敵視と自分の道と

まったく勝手な空想にすぎないが、モンタノス主義に正統的教会が抱いた危機感は、たんなる敵視だけだったとは思えない。聖霊のリアルタイムの活動をありありと信じる人々に対して、伝承を静かに守り続ける制度的教会は戸惑ったのかもしれない。現代メガチャ…

維持することと新しい知らせと

ペリカンの説明によるモンタノス主義の説明を、マクグラスの『プロテスタント思想文化史』を思い起こしつつ、とても興味深く読んだ。ヨハネ福音書14:16以下にも「弁護者」として登場するパラクレートスの活動を、世の終わりの聖霊による預言活動として信じた…

不在から

ペリカンの『伝統』の、「第二章 主流の外側で」を読んでいる。マルキオンやグノーシス主義のところ、相変わらず複雑きわまるペリカンのテクストではあるが、これも面白い。そして現代の問題につながってもいる。 神の深みや永遠に想像力を働かせることのゆ…

司牧する者たちが問うている

ペリカンの『キリスト教の伝統』をちびちび読んでいるが、とても複雑で錯綜している印象を受ける。だから面白い。キリスト教の歴史は単純な一本道ではない。ギリシャ哲学を取りこんだりギリシャ哲学に取りこまれたり、それぞれの地域で、それぞれの司祭たち…

そして

おれなんか社会のゴミだから自殺したいという無力感と、この「おまえら」化へと向かう怒りと。だから「おまえら」化された不特定の誰かを殺害し、死刑になることで自殺の願望をも満たそうという、この短絡も起こるのだ。おのれの深淵を覗き見てぞっとする。

おまえら

通り魔事件が起こるたびに、一宗教者として、人間の倫理とは何かを考え続けてきた。しかし今回の心斎橋の事件が再び起こるにおよび、なんだろう、言いようのない、途方もない徒労感に襲われる。いくら考えてもだめなものはだめなんじゃないか、という、思考…

倫理の狂気

今週の『平清盛』も面白かった。清盛は叔父の首を刎ね、義朝は父の首を刎ねる(実際には刎ねることができず、従者の正清が刎ねる)。正気の人間が、狂気としか思えないような行動を取らねばならないドラマ。わたしが宗教と倫理というテーマで物事を考えると…

1926年版『ベン・ハー』を観た。雑誌『ミニストリー』についていたおまけ。サイレント映画。後づけのピアノ伴奏がくどいので、ボリューム0にして鑑賞。信じられないレベルの高さ。2時間を超えるが、全く退屈でない。 しかしあの時代にあの映画が。当時の現実…

今さらながら恥ずかしい

教文館の『キリスト教大事典』を見ると、教理→教義(の頁を見よ)、となっていて、教理の個別の説明はない。同じく教文館のA・リチャードソン、J/ボウデン編、古屋安雄監修、佐藤文男訳『キリスト教神学事典』を見ると、教理と教義のそれぞれの項目がある。…

皮膚が弱いので口のまわりとかが荒れるときがある。すると教会の方が当然「どうされたんですか」と訊いてくる。まあ心配してくれるのはありがたいのだが。顔のことをいろいろ訊かれるのは、どうもいやだな。ニキビがある人に同じことを訊いたら、たぶんたい…

少し前にやっていた『特報首都圏』の、横浜および熊谷の空襲の番組録画を見ていた。熊谷については、8月14日23時30分から翌朝までの空襲であったという。要するに、あと数時間で「玉音放送」が流れたという、その直前ではないか。この数時間の時間差で、200…

器は欠けたときに

連れ合いが手元を滑らせてごはんを盛った茶碗を割ってしまった。床にこんもりとあったかいごはんと破片。なんとも痛ましい風景。わたしも時々割ってしまうのだが、ふしぎとお気に入りの食器ほどよく割る。 パウロが「土の器」と語るとき、この割れやすさ、割…

濃淡

J・ペリカン著、鈴木浩訳、『キリスト教の伝統 教理発展の歴史 第1巻 公同的伝統の出現(100−600年)』、教文館、2006を読み始めた。ぜんぶで5巻もあるので、なかなか手をつけられずにいた本。しかしやっぱり面白い。 キリスト教の初期、2世紀頃の様子など、…

昇天と終末を聖餐に感じ取る

聖公会の友人に教えてもらって、秋山徹「キリストの昇天の概念について カルヴァンのキリスト論と聖霊論の問題」を読んだ。赤木善光の議論を思い出しつつ。かなり面白かった。やはりカルヴァンとルターの、それぞれの文化的背景の違いみたいなものを強く感じ…

飛び去る鳥

“清めの儀式を受ける者に七度振りかけて清める。その後、この生きている鳥は野に放つ。”レビ記14:7 二羽の鳥の一羽は殺され、その鳥の血を浴びたもう一羽が解き放たれる、清めの儀式。清められた人間は、飛び去る鳥と受け入れる青空に、自己と神を見たのか。

ポルコ・ロッソには成れず

「飛べない豚は、ただの豚さ」というわけで、飛べない豚は雪崩をうって崖から跳ぶのである。

ニアミス 

オウムの菊池直子容疑者が逮捕されて、わたしと年齢がほとんど同じで、いろいろ思い出すことがあった。 高校生の頃、学研の『UTAN』という雑誌を親に買ってもらっていた。小学生のあいだ買ってもらっていた学研の『科学』という学習雑誌の、続きみたいな感覚…

ボールペン

ウルトラマンのリマスター版を再放送していることに気付いたので、録画して鑑賞。ネロンガという透明怪獣が発電所を襲う。非常にゆっくりとした、盛り込み過ぎない話の展開。そして後半にたたみかけるようにアクション。毎週あれだけ精巧なセットを作っては…

古典に血が通っている

“論争がひとたび始まると、それは時とともにますます絶えず燃え上がった。かくてそれは十五年またはそれぐらいの期間ひじょうに激しく続き、一方は他方に冷静に耳を傾けることを欲しなかった。彼らは一度会談を開いたが、たがいに譲らないでなんら一致を見な…

書いた途端に固定化されて

“この理由のためにそれは愛の鎖であると呼ばれる。なぜなら、そ​こにおいて我々すべてのものに共通に使用されるために聖別された​パンはいくつもの穀粒からでき、それぞれを区別することができな​いほど一緒にぴったり混ざっているように、我々のあいだは解…

ここに葛藤が

以前、フリー聖餐の立場の牧師が、自分の両親が救世軍に通っていた(通っていた、というのでいいのかな)し、自分もある程度成長するまで両親と一緒に通っていたと言っていた。救世軍ではディサイプルスとは逆どころか、そもそも聖礼典が無いという。そのよ…

ここに伝統が

浸礼式の洗礼を初めて見た。式文を朗読するところは、牧師も受洗者もそれぞれガウン、スーツ姿なのだが、「それでは洗礼を行います」となり、いったん牧師室に二人とも引き上げる(女性が受洗の場合は女性はもちろん別室とのこと)。そして、牧師はわたしが…

思いを伝えるって、むずかしいなあ。でも、いつかはわたしもまた相手の思いが分かると信じたい。他者との衝突は辛いものだが、それだけにどこかで分かり合えた時の喜びは、溢れだすほどだ。それは前任地でも深く味わわせていただいた恵みだった。

教義なり教理→聖書の読み方を教えてくれる、亡くなった祖先たちの面影≒伝統→その大樹の枝葉になりたい

いましがた、二人の人とツイッター上で話し合っていて、ふと自己を振り返る。じゃあ、自分がどちらかといえば信条にこだわろうとする理由はなにか?それこそ赤木善光が田川健三なり荒井献なりに迫ろうとする「実存」の問題である。つまり、論理的整合性のみ…

清貧を知る

聖公会の友人と話してたら、「んじゃ、ニカイア信条くらい遡って一致すればいい」みたいな冗談を言っていた。でも、日本基督教団なら、ニカイア?それって美味しいの?くらいの立場の人だっているだろうな… 友人が言うには、論理的対話が無理なら、互いがキ…

周期

小氷期 - Wikipedia この時期、ヨーロッパなどで寒冷化が起こり、農作物への被害や大雪の問題などが顕在化したらしい。プロテスタントが生じた時代も含まれている。ウィキペディアに例示されるブリューゲルの絵のような大雪を、ルターも踏み分けたのか。 食…

昨日、味噌汁作ってるときに地震。台所で地震に遭うのがこれほど怖いとは…

かみ合わせたい

双方の主張かみ合わず | 松ちゃんの教室 ブログ ちょうどウィトゲンシュタインの『確実性の問題』(黒田亘訳)を読み終えた直後に、タイムラインでこのブログ記事を知った。「かみあわない」という言葉の重さ。ウィトゲンシュタインが「これはわたしの手だ…

それでも、探す

『教団新報』を読んでいた。自分がよく知っている教会が、種別変更の申し出をしていることを知った。たぶんそれは、人数が増えて第1種になったというのではない。その教会の、神の前に正直に現実を見つめた勇気に感銘を受けるとともに、言葉に出来ない思いも…

切り取られた声

書斎の窓外から声が聴こえる。「はやくいけ!」と叱りつける父。嗚咽しながら駆けだす子。号泣へ。付き添い駆ける、やはり幼い兄が、低く静かにささやく「学校へ行ったら○○してあげるから」。聴いていて胸が痛みつつ、しかし温かい。